宮古島の地下ダム

水を通さない壁を地下に作って、地下水の流れをせきとめ、地下水をためる施設のことです。

宮古島では城辺地区に福里ダムと砂川ダムと皆福地下ダムの3か所の地下ダムがあります。なぜ地下ダムが必要かと言うと、宮古島には川がなく、降水の大半が梅雨と台風によるものなので干ばつに見舞われる恐れがあります。また、宮古島の特徴である琉球石灰岩と呼ばれる地質は、空隙が多く保水にむきません。なので安定した水の手段として、地下ダムが必要なのです。

自然豊かな宮古島ですが、干ばつや台風などの天災が多くおこります。それらから生活をいかに守るかと言う戦いの歴史がありました。昭和46年には、180日間で降雨量162ｍｍと言う大干ばつに見舞われ宮古島の農業は壊滅的な打撃を受けました。

本土復帰を契機に、「畑に水を、若人に夢を」を合言葉として、灌漑事業の実現のため農民は立ち上がり国や県、関係機関に繰り返し陳情してきました。その働きが実り、地下ダムが完成しました。

農民は世界に先駆けてこれほど大規模な地下ダムが完成したことは常識では考えられない奇跡的な出来事だ、もう干ばつに苦しめられない「水利用農業の展開」が可能になると言うことは、農業の歴史から見ると「宮古の農業改革」といえるほどの偉業だと喜びました。

スプリンクラーもでき干ばつに悩まされる心配もなくなりました。

地下ダムの効果

1,地下水位をせき上げ、地下水量えお増加させる。

2,海岸部では、海水の地下水への浸入を防ぎ、地下水の塩水化を防止する。

地下ダムを造る前は

地下ダムを造った後では

地下ダムの特徴

1,土地の水没がない。

2,決壊災害がない。ダムが壊れて家屋が流出することもない。

3,地下水の流動が比較的遅いために長期間安定取水が可能。

4,地下水のため年中水温が安定している。

地下ダムの立地条件

1,必要な地下水を貯留することのできる空隙を持ち、かつ貯留した地下水を効率よく摂取するだけの透水性を持った地層が存在すること。

2,その、地層の下位及び周囲に地下水を逃がさない、水を通しにくい地層が存在すること。

3,貯水量に見合う地下水の補給があること。

宮古島では、平成27年度から、国営宮古土地改良事業等で築造された、砂川地下ダム・皆福地下ダム及び福里地下ダムの3つの地下ダムで、ダムカードを配布しています。

ダムカードの意味は、カードの写真にあるように地下ダムがある場所を示しています。

裏面はＱＲコードなどそれぞれの、提高、提頂長や総貯水容量が書いてあります。

ダムカードは宮古島市地下ダム資料館で配布しています。カードによって、ダムに行ったことを証明する写真の提示が必要になるので注意してください。

石灰岩に覆われている宮古の島々には自然洞穴線が随所にみられる。洞定の水を求めて人びとは地下に降りる。いわいるウリガー(降り井)の水くみです。どれだけの人がこの洞穴線の命の水を求めて足場の悪い石段を上り降りしただろうか。人の足で滑らかになった石段、体を支えるために手を置いた岩角の丸み、それらは水くみの重労働の歴史を語る証人である。水くみはもっぱら女性や子どもの仕事であったし、子どもたちも体力相応に水くみの家事労に従事した。運搬方法は男子は担い棒、女子は頭上運搬である。

地下ダムが出来る前は生活用水をとりに行くだけでとても大変でした。とくに女性や子どもが一番苦労していたよ。

地下ダムが出来てからは「言葉に表せないほどとてもうれしい、本当に助かっている、本当にありがとう」と宮古島の人びとは喜んだそうです。

森林資源乏しく川の恵みもない島で生きるには、自然の降雨によってできる低地や凹地の池沼、石灰岩の島特有の地下水洞線、海岸縁から海へ走る地下水の湧き水、これらの水が命の水であった。人々はその水源を頼りにして村立てを創め、生活共同体を維持してきたのです。

そして、日照りが続くと人々は村の広場や辻に集い、円陣をくんで威勢よくクイチャーアーグを謡い、神々をたたえて雨を給え助け給えと声をそろえて祈り踊った。

島々の雨ごいのアーグの例です(部分抜粋)

池間島　「…今年はユガフゥ(豊年)だから十日越しの夜雨の溜まるすばらしさよ・・・十日越しでは長い五日越しの雨が降れば見事…」。

狩俣「…カーヌクニにおられる雨の主　水の主、北からは雌雲　南からは雄雲　青草がなえないうちに、夜更けにならないうちに　柄杓一杯だけでも雨をください…

多良間島「…島は皆　村は皆そろって手を合わせて　腕をまげて拝みますから今日の夜にクガニビに来られて　助け給え　雨を給え　親神よ…」。

と島の人たちはお祈りしたそうです。

そして、城辺にある福里地下ダムは水祭りも行われています。

イベントのページで水祭りのことを紹介しているのでぜひ見てみてください。