上布というのは織物のことです。沖縄で織物のと聞いたら沢山の織物を思い浮かべるかもしれません。ですが、沖縄本島の織物のほとんどは芭蕉糸や絹糸、綿糸などが使われていますが、宮古上布は手編みの苧麻糸が使用されています。そんな宮古上布の紹介をしたいと思います。
いまから約450年前もの昔、琉球の進貢船が台風に遭い沈没寸前となった。そこにちょうど乗り合わせていた宮古の洲鎌の与人(ゆんちゅ)、真栄という男が勇敢にも海に飛び込み、乗組員の命を救った。このことが琉球王の耳に入り、功績を讃え真栄を下地の最高位とした。妻の稲石はそのことを喜び、心をこめて布を織り王に献上した。これが宮古上布の世に出るきっかけとなった。
宮古上布の原料は苧麻(ちょま、宮古島の方言でブーと呼ばれる)というイラクサ科の多年生植物の繊維から採られます。
1,糸の原料
宮古上布の原料糸は「いらくさ」科の多年草である苧麻から採ります。温暖な宮古島では生育が良く35日~40日間隔で刈り取る。年に4~5回の収穫が可能だが5月~6月の苧麻は「うりずんブー」と呼ばれ、最も良質である。収穫方法は茎の根元から刈り、表皮を剥いで表皮の裏側にアワビの貝殻を当ててしごいて繊維のみを採る。
これは昔から使われているブーの繊維を採るための貝殻です。
2,糸績み
宮古上布に使用する糸は経糸・緯糸ともに手で績む。苧麻の繊維(生ブー)を指や爪で細く裂き、結び目をつくらず指先で撚りつないでいく。経糸は2本撚り、緯糸は10ヨミくらいにになると(長さにして6,000m)糸車で撚りかけをして仕上げる。着尺1反分に使用する糸は50ヨミが必要であり、経・緯それぞれ専門の績むと半年を要する。
3,図案と絣締め
宮古上布の図柄は方眼紙の小さなマスに十字絣を描き入れてデザインされる。これは絵図(イーズ)と呼ばれ絣締め職人の分野である。絣用の糸は絣を鮮明にするため漂白する。図柄によって、16~18本ずつを束にしてのりづけし、締機によって絣締めをする。
4,染色
宮古上布の染色は琉球藍を藍建てして行う。水を張った容器に琉球藍を入れ、アルカリ分として苛性ソーダ、醗酵をを助けるために泡盛・黒糖を加え毎日撹拌する。夏場は1週間程、冬は2週間程で醗酵してみどり色になり、染色可能な状態になる。醗酵状態の良い藍は藍の花と呼ばれる泡がいきよいよく立ちます。
5,製織
織機に設置され経糸に糸の毛羽だちを防ぐため上布糊を手のひらにまんべんなくぬり、糊が乾いたら糸のすべりをよくするため豚の脂を薄くぬってから織り始める。この作業は、織り進む再に機の上で常に繰り返し行っていきます。
6,洗濯加工(砧打ち)
湯洗い陰干しした布に、サツマイモの澱粉糊でまんべんなく糊付けをする。この洗いと糊付けによって布が幾分縮むのでその後布をタテに引っ張って伸ばし、ヨコ幅を整えていく。布を折りたたんだ状態でアカギの台板の上に置き、イスノキで作った4キロ程の木槌で布面をまんべんなく打っていく。
漂白してかりすりと言う作業をしている様子です。
7,検査
洗濯加工を終えた布は、県より依託された専門検査員によって検査がおこなわれ、それに合格したものが初めて宮古上布として認められ製品として流通していきます。
これわ昔から使われている織物をおる織り機です。
7つの工程が終わると織り機で織り始めます。
2・3・4・5に関しては写真がありませんでした。載せたかったのですが申しわけないです。
戦後は1972年の1049反を最高に宮古上布の生産は年々減少していきました。ここ数年は20反あまりがやっと生産されているところです。
私の母親も宮古上布を造っています。しかし、「制作の時間が長いうえに、家庭を持っている人は家事や年間行事に追われて忙しい合間を縫って制作しないといけないから大変だよ、だけど、制作時間が長い分完成したときの達成感はすごい」と言っていました。
伝統工芸を支えるのは産地の人びとではあるのですが、実際に宮古上布を正しく理解している地元の人はほとんどいません。
宮古島総合博物館で宮古上布をつくる体験ができるのでぜひ、足を運んで体験していって下さいね。
宮古上布のページを作る前は「なんでこんなに宮古上布の値段は高いのだろう」と思っていたんですけど、宮古上布の歴史や造る工程などを調べると一つ一つの工程がとても細かく、一つの小さいみすでも見た目が悪くなり売り物になりません。すごく手間をかけて制作していることが分かりました。
造る人によって個性的でデザインや模様も違ってくるので見ていて飽きないです。